高次脳機能障害とは、脳の損傷によって起こされる記憶障害、注意障害、行動障害、人格障害等の神経心理学的症状のことをいいます。
高次脳機能障害は、その症状から、「神経系統の機能又は精神に著しい障害」にあたるものとして、以下のとおり、自賠責保険における認定等級が分類されています。
等級 | 認定基準 | 保険金額 | 労働能力喪失率 |
---|---|---|---|
1級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの | 4000万円 | 100% |
2級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの | 3000万円 | 100% |
3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの | 2219万円 | 100% |
5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 1574万円 | 79% |
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 1051万円 | 56% |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの | 819万円 | 35% |
もっとも、裁判例では、上記労働能力喪失率表を参考にして、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度、交通事故前後の稼働状況等を総合的に判断して具体的にあてはめて評価するのが一般的です。
例えば、会社員(女・31歳、高次脳機能障害7級4号と他の後遺障害の併合6級)につき、記憶力及び記銘力の障害の程度が強いことから、6級(67%)と5級(79%)のほぼ中間値75%の労働能力喪失を認めた裁判例(名古屋地判平18.1.20)や、会社員(男・31歳、高次脳機能障害非該当、他の後遺障害で併合8級)につき、交通事故直後、軽度の意識障害があり、脳挫傷等を疑う画像所見があり、物忘れ症状、複数の作業を並行処理する能力等の低下、性格上の変化がみられることから、高次脳機能障害7級4号と認定し、併合6級として、17年間67%の労働能力喪失を認めた裁判例(東京地判平22.5.13)などがあります。
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