交通事故により被害者が利益(給付)を受けた場合には、損益相殺がなされることがありますが、その利益(給付)の内容・目的によって、控除される損害の費目が固定されることがあります。
例えば、労働者災害補償保険法による休業補償給付や障害補償給付は、財産上の損害の補填のためのみになされるものであり、給付された補償金が財産上の損害を上回る場合であっても、その差額を慰謝料から控除することはできない、とされています(最判昭58.4.19)。
また、自賠責損害賠償額及び労働者災害補償保険法による給付は、人的損害の填補に充てられるべきものであり、物的損害の填補に充てられるものではない、とされています(大阪地判昭62.2.6)
また、将来的に支給を受けるかもしれない利益(給付)があるとしても、支給が確定していない場合には控除は認められないものとされています。
このように、被害者が受ける利益(給付)の内容や目的、時期によって、控除の対象となる損害の費目が制限されたり、控除そのものが制限されたりすることがあります。
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