自賠責保険は、被害者に対する最低限の補償を確保するものですので、保険金額には、以下のとおりの上限が設けられています。
① 傷害に起因する損害について | 120万円 |
---|---|
② 後遺障害に起因する損害について | 4000万円 ※ |
③ 死亡に起因する損害について | 3000万円 |
※ 後遺障害の場合は、認定された後遺障害等級に応じて、上限が異なります。
対人保険の場合、被害者の過失割合に応じて、支払われる保険金額は減額される取扱いになっています。例えば、被害者の損害額が1000万円の事案で、過失割合が被害者に5割あるとすると、任意保険会社から支払われるのは、被害者の過失部分を控除した500万円になります。
しかし、自賠責保険は、被害者への補償を目的としたものですので、過失減額については、以下のとおり、要件が大幅に緩和されています。
被害者の過失割合 | 後遺障害及び死亡にかかる保険金 | 傷害にかかる保険金 |
---|---|---|
7割未満 | 減額無し | 減額無し |
7割以上8割未満 | 2割減額 | 2割減額 |
8割以上9割未満 | 3割減額 | 2割減額 |
9割以上10割未満 | 5割減額 | 2割減額 |
10割 | 免責 | 免責 |
そのため、上記の事案のように被害者に5割に過失割合があったとしても、自賠責保険の場合には過失減額は行われないことになります。
任意保険の場合、加害者が故意に起こした事故により生じた損害については、保険金が支払われない取扱いになっていますが、自賠責保険の場合には、被害者は、故意により生じた事故であっても、自賠責保険金の支払いを受けることができます。
ただし、加害者は、被害者に損害金を支払ったとしても、自賠責保険金を請求することはできませんので、この点は、任意保険の場合と変わりありません。
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