「昨今交通事故の被害者の治療費の支払に関し任意保険会社と医療機関との間で行われている「一括払い」なるものは、保険会社において、被害者の便宜のため、加害者の損害賠償債務の額の確定前に、加害者(被保険者)、被害者、自賠責保険、医療機関等と連絡のうえ、いずれは支払いを免れないと認められる範囲の治療費を一括して立て替え払いしている事実を指すにすぎず、立て替え払いの際保険会社と医療機関との間に行われる協議は、単に立て替え払いを円滑にすすめるためのもので、保険会社に対し医療機関への被害者の治療費一般の支払い義務を課し、医療機関に対し保険会社への右治療費の支払い請求権を付与する合意を含むものではないと解するのが相当である。」
「任意保険会社が医療機関に対して一括払いを行ったとしても、通常、保険会社が被害者らの便宜のため、加害者の損害賠償額の確定前に、その範囲内で、治療費を自賠責分を併せて一括して立て替えて支払うものにすぎないのであって、その際に、任意保険会社と医療機関との間で協議が行われたとしても、立替払いを円滑に進めるための手段にすぎず、任意保険会社が被害者と併存的に債務を引き受ける合意をしたものとまで解することはできない。」
以上の裁判例では、「一括払い」について、事実上の立替払いに過ぎず、法的権利の付与には否定的なスタンスを取っています。
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