無償同乗(好意同乗)とは、同乗者が、運転者との人的関係に基づき、その好意で無償同乗することをいいます。
同乗者が事故により損害を受けた場合、通常は、同乗者には事故発生の原因となる過失が存在しない(あくまで事故発生は運転者による過失による)ため、運転者は、同乗者に生じた損害全額について賠償する責任を負うこととなります。
しかし、同乗者が無償で同乗することにより利益を得ている以上は、運転者の運転により生じ得る危険についても運転者とともに分担すべきであるし、同乗者自身の行為によって危険が増幅している場合には同乗者にも責任を負担させるべき等といった考えのもと、一定のケースにおいては、同乗者の損害額が減額されることがあります。
例えば、同乗者が運転者と一緒にお酒を飲んだ後に、自宅に送ってもらうために運転者の車に同乗していたところ、車がガードレールに接触して同乗者が受傷したケースにおいては、同乗者は運転者が相当程度酩酊していることを十分わかっていながら同乗した、として、20%の減額が認められています(東京地判平7.6.21)
一方で、運転者が80キロメートル程度速度超過した結果、事故が生じたケースにおいては、同乗者がシートベルトをしていなかったという事情はあるものの、運転者において同乗者にシートベルトを着用させるのは容易であること、事故の原因がもっぱら運転者の無謀運転に起因すること等を理由に、減額を認めませんでした(横浜地判平17.9.22)。
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