交通事故の被害者は、事故によって損害を受けるだけではなく、何らかの利益(給付)を受けることもあります。
例えば、交通事故の被害者が、一定の金額について自賠責保険から支払いを受けているにもかかわらず、加害者からも損害全額の賠償を受けてしまうと、被害者が賠償金を二重取りすることとなってしまいます。
そこで、当事者間の損害の分担を公平にするために、被害者に生じた損害から、被害者が受ける利益のうち一定のものについては控除した上で、加害者が賠償すべき損害額を算出することがあります。このような控除をすることを損益相殺といいます。
とはいえ、被害者が得た利益(給付)のすべてが控除の対象となるわけではなく、一般的には、交通事故と相当因果関係のある利益(給付)に限って控除するものと考えられております。
この交通事故と相当因果関係のある利益(給付)に当たるか否かは、主に①給付の目的は何か、②給付の根拠となる規定において民事上の損害賠償制度との調整規定が設けられているか、③給付の基礎となる費用の負担者は誰か、といった点から判断されることになります。
損益相殺として控除される利益(給付)の例としては、受領済の自賠責損害賠償額、政府の自動車損害賠償保障事業填補金、遺族厚生年金、障害厚生年金、労働者災害補償保険法による休業補償給付金などがあります。
一方で、控除されない利益(給付)の例としては、生命保険金、生活保護法による扶助費、社会儀礼上相当額の香典・見舞金、労働者災害補償保険法による休業特別支給金などがあります。
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